今回は投資信託の「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」についてです。
僕はこの投資信託に少額ですが投資しています。が、今後も積み立てていくかは微妙なところです。
- 株式だけに投資するのは暴落が怖いし、債券にも投資しておいたほうが良いんじゃないかな。
- 日本国債はネット銀行の普通預金よりも金利が低いし、投資するなら海外の債券かな。
- でも日本だけじゃなくて、世界中で低金利だよね…。
理由はこの3点でしょうかね。
このページでは、
- 先進国債券インデックスとはどんな投資信託なのか?
- 為替ヘッジの有無は?
- なぜ先進国債券への投資が微妙なのか?
について解説したいと思います。
※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用報告書などをよく読んで投資判断をしましょう。
目論見書は三菱UFJ国際投信社のウェブサイトなどで確認できます。
三菱UFJ国際投信社のウェブサイトはこちら(新しいタブで開きます)→https://emaxis.jp/fund/252667.html
先進国債券インデックスとは?

「先進国債券インデックス」のファンドはeMAXIS Slim以外にも多数ありますが、大抵は同じ指数の「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」をベンチマークにしていて、リターンも似たようなものになります。
「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」とは?
「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」という指数は、イギリスのロンドンにあるFTSEが算出する指数で、主要国の国債を時価総額で加重平均したしたものです。
(除く日本)なので、日本以外の先進国の公社債に投資するファンド…と思いきや。
新興国の国債も僅かに入っている
組み入れ銘柄をよく見ると、比率は1%未満と少ないのですが、メキシコやマレーシアの国債が入っています。
…先進国債券?
「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」の目論見書には「公社債」と書いてありますが、社債は入ってなさそうです。
だいたい4割くらいがアメリカ国債です。長期も短期もいろいろ混ざっています。
株式ほど大きく下落しないが、上がり方はゆっくり

https://emaxis.jp/fund/252667.html 三菱UFJ国際投信社Webサイトより引用
上の画像は、eMAXIS Slim先進国債券インデックスの運用開始~2022.3.28の基準価額チャートになります。
開始直後に少し初期値の10000円を下回っていますが、その後は1万円を割ることなく、じわじわと上昇しています。
先進国株式インデックス等は2020年3月のコロナ暴落で、基準価額が1万円を割っています。
ですが、この債券ファンドは基準価額が400円くらい、4%程度の下落に収まっています。
しかし、2018年に大きく下落した後、元の価格に戻るまでに2年近くかかっている点も見逃せません。
同じ2017年2月27日が設定日の『eMAXIS Slim先進国株式インデックス』は、2021年末に基準価額は2倍にまで増額しています。
それに対して、この『eMAXIS Slim先進国債券インデックス』は、2021年末までの基準価額の増加が20%にも届いていません。
ここ数年のチャートで見ると、債券ファンドは株式ファンドほど大きく価格が上下していません。
大きな損失を被る可能性は低くなりますが、大きな利益を得られる可能性も低いです。
また、上昇がゆっくりな分、一度大きな下落が発生して損失になった場合、損失を取り戻すのにも時間がかかってしまいます。
似たファンドが沢山ある
先進国株式のファンドも沢山ありますが、先進国債券のファンドも多いですね。
先進国債券インデックスファンド一覧(一部)
ファンド名称 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.154% |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.154% |
Smart-i 先進国債券インデックス <為替ヘッジあり> | 0.187% |
Smart-i 先進国債券インデックス <為替ヘッジなし> | 0.187% |
たわらノーロード 先進国債券 | 0.187% |
iFree外国債券インデックス | 0.198% |
たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.220% |
iシェアーズ 先進国債券インデックス | 0.3575% |
このへんが「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」に連動する投資信託になりますね。
数が多いので一部です。
同じ指数に連動するファンドなら、信託報酬が低いほうが有利か
指数が同じなら、多少の誤差はありますが同じ銘柄を同じ割合で保有することになります。
そのため、債券価格や受け取る金利は、どのファンドを選んでも似たようなものになると思います。
ファンドによって運用方法の違いで細かな差はありますし、かかる経費も違うのですが、決まった割合で徴収される信託報酬が低いファンドのほうが、高いリターンになりやすいです。
あくまでも目安の1つで、必ずしも信託報酬が低いファンドが高いリターンになるわけではありませんが。
もう1つ大きな要素に、為替ヘッジの有無があります。
為替ヘッジ有はコストが増えるが、為替変動の影響を受け難い
為替が円高になると、外貨の価値が低くなるので、外国債券を円換算すると価値が下がり、投資信託の基準価額も下がります。
逆に円安になると、外貨の価値が高くなるので、投資信託の基準価額が上がります。
為替ヘッジありのファンドは、為替変動があった場合でも基準価額の変動を小さくする効果があります。
あくまでも小さくするだけで、全く影響がないということにはできなさそうです。
しかし、為替ヘッジにはヘッジコストというものがかかります。
日本円と外貨の金利差がヘッジコストになります。
今はコロナ禍の影響で世界中が低金利でゼロ金利に近いので、ヘッジコストも低くなっています。
米国では近く金利が上昇するのではないかと見込まれますが、日本は金利が上がりそうもありません。
FTSE世界国債インデックスは米国債の比率が多いので、米国の金利が上昇すると、ヘッジコストも高くなりそうです。
為替ヘッジ有のファンドのほうが、ファンドの基準価額の増減が、債券価格そのものの価格変動に近くなるかと思います。
為替ヘッジ無しのファンドは、債券価格の変動よりも、為替の変動により基準価額が変動する場合があります。
為替ヘッジ有り→ | 債券価格そのものの価格変動に近くなる |
為替ヘッジ無し→ | 為替の変動で基準価額が上下する |
債券ファンドに限らず、株式ファンドでも似たような傾向になります。
なぜ債券ファンドが微妙なのか?

ポートフォリオに債券を組み入れよう、という意見もありますが、正直微妙ですね。
金利が低すぎる
今は低金利です。銀行金利も低いのですが、債券の金利も低いようですね。
日本だけでなく、世界中で金利が下がっています。
一般的に、債券は株式よりも価格変動が小さいと言われているようですが、下がるときは下がります。
債券の金利が高ければ、多少債券の価格が下がっても受け取った利息でカバーできるかもしれませんが、金利が低いと下がった債券の価格を埋めるのに時間がかかってしまいそうです。
ファンドの年間リターンはプラスでも債券価格は下がっている

画像はYAHOO!JAPANファイナンスのスクリーンショットです https://finance.yahoo.co.jp/
上の画像は「Smart-i 先進国債券インデックス」の為替ヘッジ有と無を並べたものです。
2021年8月のデータです。
年間リターンを見比べると、ヘッジ無は3.5%のプラスですが、ヘッジ有は2.1%のマイナスです。
上にも書きましたが、為替ヘッジの有無で、為替変動による価格変動の大小が変わります。
つまり、このリターンの差は、為替変動によるものです。
ヘッジ無のリターンがプラスになっているのは、円安になったからです。
債券の価格は、この1年で受け取った金利以上に下落していることになります。
結論:金利が上がったら再検討

米国の利上げやテーパリングでどう転ぶかわからないので、金利が上がって落ち着いてから考えれば良いかな、と思います。
それが何年後になるか分かりませんが、もし債券価格が下がったら、今の低い金利では取り戻すのに何年かかるか分からないです。
僕は新型コロナによる暴落時に株式投信がストーンといってしまったので、株式よりは大きく下がり難い債券も大事だなーと思ったのですが、別にネット銀行の普通預金でも良いかな、とも思います。
債券多めのバランスファンドというのもありますし、株価が上がればやっぱり株だーとも思ってしまいますし。
さじ加減は難しいですね。
少しでも資産は増やしたいですし、減らしたくはないです。
そういう迷走があった結果、とりあえず債券ファンドも買ったのですが。
僕は社債のETFも買っているし、債券の投資信託は金利が上がってきてから、改めて検討すれば良いかな、と考えています。
ある程度の金利が見込めた頃に考えられたポートフォリオのテンプレなんて、今の低金利ではアテにならないですね。
やすふじの投資信託の運用状況は、こちらの投信積立のページで見ることができますので、実際に投信積立をしたらどうなっているか、参考になることがあるかもしれません。
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※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用報告書などをよく読んで投資判断をしましょう。
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