2623 ETF ユーロ建て投資適格社債 で欧州に分散投資?

 2623 iシェアーズ ユーロ建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)についてです。

 ドル建てで米国投資するファンド・ETFは多いのですが、分散投資が大事ということで、欧州・ユーロに目を向けたときに見つけたのが、この2623ETFでした。
ですが…

僕は投資対象としてナシと判断しました。理由は以下の3点です。

  • 米国の債券と比べると、利回りがちょっと低いかな。
  • 市場価格が基準価額より妙に高いかな。
  • 発行口数が伸びなくて、繰り上げ償還になりそう…。

このページでは、

  • 2623-iシェアーズ ユーロ建て投資適格社債ETFとは、どんなETFなのか?
  • 分配金はいくらくらい?
  • 分散投資は大事なのに、なぜ微妙なのか?

について、解説したいと思います。

 ※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。

 目論見書はブラックロック・ジャパン社のウェブサイトで観覧できます。
 ブラックロック・ジャパン社のウェブサイトはこちら(新しいタブで開きます)→https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/316142/

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どんなETFなのか?

どんなETFなのか?

 為替ヘッジをしながら、ユーロ建てで比較的安全とされる社債に投資するETFです。
 「ブルームバーグ・バークレイズ・ユーロ社債インデックス TTM(為替ヘッジ有り、円ベース)」をベンチマークとしています。

IEACというETFに投資している

 1496 iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)に似ていますが、同じようなものです。
 1496 ETFはドル建てETFの「LQD」に投資しているのですが、
 2623 ETFは「IEAC」というユーロ建てのETFに投資しています。
 「LQD」はニューヨーク証券取引所に上場しているETFで、「IEAC」はロンドン証券取引所に上場しています。

 運用会社も運用方式も同じで、ドル建てで社債に投資するか、ユーロ建てで社債に投資するかの違いになります。

 1496 ETFについてはこちらのページで解説していますので、興味がありましたら是非ご覧ください。

残存年数に制限はない

 債券ETFには「〇-〇年」のように年数を表記しているものが多くあります。
 この年数はETFが投資対象としている債券の残存年数で、何年後に償還される予定の債券かを表しています。

 債券は期限が長くなるほど金利が高くなる代わりに、リスクが高くなります。
 数十年後に債券を発行した企業が存続しているかわかりませんし、金利が上昇すれば低い金利で発行された債券は価値が下がってしまいます。

 この2623ETFが投資している債券には残存年数が20年以上の超長期債券も含まれていますが、比率は大きくありません。
 0年~10年の比較的短期で償還される予定の債券が9割近くを占めており、リスクは低めに抑えられているようですが、その分金利は低くなりそうです。

欧州企業に限定はしていない

 2623ETFは「ユーロ建て」ですが、投資している債券は「欧州の企業」には限定していません。
 欧州の企業が発行している債券を中心に投資しているようですが、20%程度は米国企業の債券に投資しているようです。

 日本企業もドル建てで債券を発行していますし、米国企業がユーロ建てで債券を発行していても不思議ではないですね。

為替ヘッジを行う

 この2623ETFは、1496ETFと同様に為替ヘッジを行います。
ユーロ建てなので、円とユーロの金利差がヘッジコストになります。
日本は金利が上がりませんが、ユーロは2022年に利上げを行って金利が上昇しているので、ヘッジコストが高くなっています。

 為替ヘッジがあるので、ユーロ安になってもETFの基準価額が大きく下がることは無さそうですが、ユーロ高になった場合にも基準価額が上がりません。

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2623 ユーロ建て社債ETFの分配金は?

分配金

債券ETFですから、分配金は重要ですね。

分配金は年2回、4月と10月に決算して翌月に入金

 2623 ETFの分配金は年2回の予定です。
 毎年4月11日と10月11日に決算を行って、分配金額が決まります。
 決算の翌月に分配金が入金します。

 1496 ETFや1497 ETFは年4回の分配金がありますが、この2623 ETFは年2回だけです。
 年2回だけの分配金なら、1度に貰える分配金はどれだけ大きくなるのか、と期待したいところですが…。

分配金の実績

決算月1口あたりの分配金額
2023年 4月20円
2022年10月5円
2022年 4月3円
2021年10月14円
2021年 4月9円
2623 iシェアーズ ユーロ建て投資適格社債ETFの分配金

 初回の分配金は、半年分で1口あたり9円でした。
 単純に倍にすると年間18円ですね。

 2021年10月、2回目の分配金は1口あたり14円に増えました。
 年間の分配金は、23円になりました。

 2021年10月11日の終値が2,491円なので、年間利回りは 0.9% です。

 2022年4月、3回目の分配金は1口あたり3円でした。

 …下がっとる。
 2022年4月11日の終値は、2,333円でした。
 ETFの価格が下がったら、利回りは高くなるものなのですが…0.7%に下がりました

 2022年10月の分配金は、5円。
 前回の3円から、倍近くに増えました。

 2022年の年間の分配金は、8円。
 2022年10月11日の終値が2092円で、年間の分配金利回りは0.38%になりました。

 2023年4月の分配金は20円に大きく増えましたが、分配金利回りでは1496 米ドル建て社債ETFのほうが高くなりそうです。

欧州の利上げで為替ヘッジプレミアムからコストへ

 欧州はずっと低金利でした。
 日本も低金利ですが、欧州は日本よりも低い金利になることがあって、その間は為替ヘッジをかけることで、金利を受け取ることができました。
 為替ヘッジプレミアムです。

 ところが、2022年には深刻なインフレで欧州は利上げを行いました。
 日本よりも金利が高くなって、為替ヘッジプレミアムは無くなり、コストがかかるようになりました。

為替ヘッジコスト>債券利息で赤字もあり得るかも

 金利が上がったからといって、既発債券の利息は増えません。
 でも為替ヘッジのコストは金利が上がれば増えます。
 金利の上昇が続くとコストが増え続けて、債券の利息よりもヘッジコストのほうが大きくなる可能性があります。
 そうなると、貰うお金よりも払うお金のほうが大きいので、債券を持ち続けると赤字になる場合があります。
 1496と1497の米ドル建て社債ETFのほうは、計算上は利回りが上がっていたのですけど。

分散投資は大事だけど…

なぜ微妙か?

 分散投資は大事です。僕は株式だけでなく、債券のETFも買っています。
 種類だけでなく、地域・通貨も分散したほうが良いでしょう。
 国債より社債のほうが利回りが良いんじゃないかな?
 ということで、このETFに目を付けました。しかし…

「IEAC」の分配金利回りは「LQD」の3分の1程度

 この2623 ETFは上場してまだ間も無く、分配金実績が少ないため利回りが計算できません。
 しかし、「IEAC」というETFを投資対象としていますから、IEACの利回りを調べることでおおよその見当が付きます。
 というわけで調べてみたのですが…2021年2月1日の時点で、税込みで0.89%でした。

 LQDは2021年1月28の時点で、税込み2.37%です。

 IEACはLQDと比較すると、ちょっと利回りが低いですね。
 LQDの3分の1程度ですよ。
 分配金再投資しようとすると、100口持っていても、1年分の分配金では1口も買い増すことができなさそうです。
 ※利回りは日々変動します。最新の情報をご確認ください。

出来高が少ないので、高値で買いやすく、安値でしか売れない

 このETFは東証での出来高が少ないです。市場価格と基準価額を比較すると、僕が見たときには市場価格が少々割高になっていました。
 高値で買わされて、売ろうにも誰も買ってくれない…ということになるかもしれません。

2623 iシェアーズ ユーロ建て投資適格社債ETFの株価チャート
画像はYAHOO!JAPANファイナンスのスクリーンショットです https://finance.yahoo.co.jp/

 画像は2623 ETFの株価チャートなのですが、たまーに価格が跳ね上がっているのが見られると思います。
 多分これ、成行で注文したら高値で掴まされたやつです。
 3月くらいにびょーんと伸びていますが、この時の基準価額は上がるどころか下がっていました
 それなら自分も高値で売り注文を出しておけば、と思うかもしれませんが、自分の注文よりも1円下に割り込まれるだけですね。

 高値で買わされて、安値でしか売れない。だから、こんなチャートになっているのでしょう。

※このETFにマーケットメイカーが常駐しているかは不明ですが、運用会社とマーケットメイカーは別の存在になるので、運用会社のブラックロック・ジャパン社が高値で売りつけているわけではないと思います。

繰上償還しそう

 また、発行口数が伸びなくて繰上償還になる可能性があります。
 設定日の2020年10月14日から、3年経過後に口数が60万口を下回ると、繰上償還してこのETFは無くなる可能性があります。
 2021年7月14日の時点で発行済み口数は、6万口のようですね。

 ファンドの目論見書を見ると、設定初期から全く増えてないです。

 2022年4月15日の発行済み口数は、25,000でした。
 …半分以下に減ってますね。

 必ずしも繰上償還すると決まっているわけではありませんが、3年後の60万口という基準をクリアするのは、現状ではかなり厳しいと言わざるを得ませんね。

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まとめると

まとめ
  • 分配金が少ない。
  • すぐに繰上償還しそう。
  • 為替ヘッジがあるので、円安ユーロ高でも恩恵がない。

 というわけで、僕はこの2623 ETFを買わない、という判断になりました。
 いつかはユーロ建て債券にも好転することがあるかもしれませんが、その時には繰上償還でETFが無くなっているかもしれません。

 欧州の金利の上昇に期待したいところですが、金利が上がったら既発債券の価格が下落しそうです。
 現状では米国の債券か、預金でよさそうです。
 それか、債券で地域分散するなら、先進国債券ファンドとかですかね。

 債券に拘らないで分配金が得られるETFを、というのであれば、リートETFなどを検討してみても良いかもしれません。

 ※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。

 やすふじのETFの運用状況は、こちらの株式・ETF運用状況ページでご覧いただけますので、参考になることがあるかもしれません。

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