米国では政策金利の上昇が続いています。
そして、米国債の利回りも上昇しています。
ということは、債券ETF・社債ETFの利回りも上昇しているのでは?
と、気になってくるわけです。
東証上場のETFで米国の社債ETFといえば、この3つでしょうか。
2022年10月に1496と1497の分配金額が発表されたので、今回はこの2つのETFの分配金と利回りなんかを見てみたいと思います。
米国債の利回りはかなり高くなっているので、国債よりも高い利回りが期待できる社債のETFは、どれくらい利回りが上がっているのでしょうかー。
1496-投資適格社債ETFの分配金
まずは、1496-iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETF(ヘッジ有)から見てみましょう。
1496ETFの2022年と前年の分配金
2022年 | 2021年 | |
10月 | 16円 | 12円 |
7月 | 15円 | 14円 |
4月 | 14円 | 14円 |
1月 | 13円 | 16円 |
年間合計額 | 58円 | 56円 |
ブラックロック・ジャパン社のWebサイトより引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/287652/ishares-usd-investment-grade-corporate-bond-jpy-hedged-etf-fund
2020年のコロナ禍以降、金融緩和で金利が下がって、1496ETFの分配金も減額が続いていました。
2022年に入ると金融緩和の終了と利上げ、引き締めが始まり、分配金額は増額が続いています。
1496ETFの分配金は1月→10月で23%増
利上げ開始前の1月の分配金と10月の分配金の差は3円。
23%の分配金増額です。
しかし、米国10年国債の利回りは2022年始の1%台後半から4%近くへと、倍以上になっています。
国債の利回りが倍以上になっているのなら、社債の利回りも倍くらいになっていても良さそうなものですが、分配金は1月から3円の増加に留まっています。
23%も増えていれば十分にも思えますが、国債利回りの上昇率と比べると、ちょっとガッカリな感じです。
1496ETFの価格は25%値下がり
1496-iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETFの2022年始~10月分配金権利日までの価格チャートです。
2022年始から10月11日の分配金権利日までに、1496ETFの価格は25%下がりました。
2022年の分配金の合計が58円なので、10年分の分配金以上の値下がりです。
利回り上昇=貰える利息が増えるだけじゃない
債券の利回りが上昇するというのは、貰える利息が増えるだけではないのです。
安く買うことでも利回りが上昇するのです。
米国債の利回り上昇も、債券の価格が下がったから利回りが上昇しています。
債券ETFも価格が下がっているので、利回りが上昇しているのです。
1496ETFの価格に対する利回りは60%増えている
1496ETFの分配金と利回り | 1月 | 10月 |
権利日の終値 | 2,505円 | 1,905円 |
1回の分配金 | 13円 | 16円 |
4倍にすると | 52円 | 64円 |
利回り | 2.08% | 3.36% |
1月11日の終値は2,505円。
1月の分配金は13円で、それを4回分にすると52円。
利回りは2.08%です。
10月11日の終値は1,905円。
10月の分配金は16円で、それを4回分にすると64円。
利回りは3.36%です。
利回りの差は1.28%なので、60%くらい増加しています。
でも倍には届いていないですね。
1497-ハイイールド社債ETFの分配金
続いて、1497-iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(ヘッジ有)の分配金を見ていきましょう。
1497ETFの2022年と前年の分配金
2022年 | 2021年 | |
10月 | 25円 | 22円 |
7月 | 26円 | 21円 |
4月 | 24円 | 23円 |
1月 | 22円 | 25円 |
年間合計額 | 97円 | 91円 |
ブラックロック・ジャパン社のWebサイトより引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/290189/ishares-usd-high-yield-corporate-bond-jpy-hedged-etf-fund
1497ETFも米国の利下げで分配金が減っていましたが、2022年に利上げが始まると分配金額は増額してきました。
ところが10月の分配金は7月よりも減りました。
1497ETFの分配金は1月→10月で13.6%増だが…
1497ETFの分配金は1月と10月の差額は3円でした。
13.6%の増額で、1496ETFの23%増と比べるとかなり見劣りします。
金額は同じ3円増加なのですが。
それよりも、10月の分配金が7月よりも減っていることが気になります。
米国ETFのHYGの分配金は増えている
上の画像は米国ETFのHYGの分配金の表です。
10月の分配金は9月よりも減っています。
でも1497ETFの分配金は3か月分です。
8~10月の分配金は、5~7月より少ないなんてことはありません。
増えているはずなんです。
1497ETFの価格は21%値下がり
1497-iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETFの2022年始~10月分配金権利日までの価格チャートです。
2022年始から10月11日の分配金権利日までに、1497ETFの価格は21%下がりました。
年間の分配金合計が97円なので、分配金5年分の値下がりですね。
1496よりも傷は浅く見えます。
いまのところ。
1497ETFの価格に対する利回りは40%の増加
1497ETFの分配金と利回り | 1月 | 7月 | 10月 |
権利日の終値 | 2,316円 | 1,985円 | 1,868円 |
1回の分配金 | 22円 | 26円 | 25円 |
4倍にすると | 88円 | 104円 | 100円 |
4倍にした場合の利回り | 3.8% | 5.24% | 5.35% |
1497ETFの1月11日の終値は2,316円。
1月の分配金は22円で、それを4回分にすると88円。
利回りは3.8%です。
10月11日の終値は1,868円。
10月の分配金は25円で、それを4回分にすると100円。
利回りは5.35%です。
利回りの差は1.55%で、40%くらいの増加です。
7月の利回りは5.24%になるので、分配金の金額は減っていますが利回りは上がっています。
米国債の利回りは上がっているけど…
米国債の利回りは上がっています。
でも1496ETFも1497ETFも、分配金額はあまり増えていませんでした。
新発債券の表面金利は上がっていく
一般的に、社債の金利は国債よりも高めに設定されます。
米国債の金利は上がっているため、今後新しく発行される社債の表面金利は上がっていきます。
でも利上げがあらかじめ予告されていたので、低金利のうちに社債を発行していて、すぐに追加の社債発行とはいかないかもしれません。
利上げが一時的で、近く金利が下がることが予想されているのであれば、なおさら高い金利で社債を発行しようとは思わないでしょう。
低金利時に発行した債券の表面金利は低いまま
低金利時に発行した債券の表面金利は、低いままで変わりません。
すでにETFに組み込まれている債券の利息は、増えないのです。
だから、分配金もあまり増えないのです。
債券の中には『国債金利+〇%』といった感じの変動金利のものもあります。
そういった変動金利の債券の利息は増えていると思います。
既発債券の利回り上昇=価格の下落
金利の高い債券が出てくると、金利の低い債券の価格は下がります。
貰える利息が少ないので、安くしないと売れないのです。
金利の上昇が続くと、低金利の債券の価格は下落が続きます。
そんな感じで、1496ETFも1497ETFも価格が下がることで、利回りが上がっています。
結論・利回りは上がっているけど価格下落がきつい
- 1496ETFも1497ETFも、分配金額は若干増えている。
- 分配金利回りも上がっている。
- ただしETFの価格は下がっている。
- 米国の利上げが続くと、ETFの価格はさらに下がるかも?
ETFの分配金額はあまり増えていませんが、利回りは上がっていました。
そのぶん、ETFの価格はがっつり下がっているのですけど。
利上げで価格が下がるなら、利下げになれば価格は騰がるのではないか、と思われるのですが…いつになるかわからなんですよね。
インフレさえおさまれば、利上げも終わるのでしょうけど、そのインフレがおさまる気配がありません。
高金利が続けば受け取る利息が増えるのですが、社債を発行している企業にとっては借金です。
あまり高金利が長く続くようだと、破綻リスクが高まってしまいます。
破綻したら、お金が帰ってこないかもしれません。
特にハイイールド債は破綻リスクが高いと思われる発行体なので…そのうち、大暴落するかもしれないですね。
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