2022年3月期3Q決算分析-8893新日本建物は前年比で増益も期間赤字

このページは2022年2月10日発表の2022年3月期 第3四半期決算について書かれたものです。
2022年8月5日発表の2023年3月期第一四半期決算については、別のページに簡単な感想を書いていますので、そちらのページもよろしくお願いします。

2月10日に、<8893>新日本建物の2022年3月期 第3四半期決算が発表されました。

新日本建物の業種は不動産です。

不動産業というと、土地や建物を転売して差益、手数料などで稼ぐ印象があるかと思います。

新日本建物は、土地を買って、建物を建てて、売却する。
転がすタイプではなく、開発と販売が主です。
主に首都圏で、最近は投資家向けの資産運用型マンションに注力しているようです。

そんな新日本建物の決算内容を簡単にまとめると、こんな感じでしょうか。

  • 前年同期比で2倍くらいの大幅増益。
  • しかし10-12月期間の経常は赤字。
  • でも毎年のように期末の4Qに利益が集中していて、3Qの赤字は想定内。
  • 予想配当金は据え置き、期末(3月末)に一括配当で22円。

株式投資の利益に増税とか、株主への利益の制限とか、最近は株式投資には不穏な空気が漂っています。

となると、投資家は株式から不動産投資へ、という流れになる可能性もあるんでしょうかね。

2022年5月に発表があった2022年3月期末決算はこちらのページになります。

※あくまでも個人の感想です。各企業の決算内容については、公式なIR発表等でご確認ください。
新日本建物のWebサイトはこちら→https://www.kksnt.co.jp/

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新日本建物の過去の業績のおさらい

8893-新日本建物の過去の純利益と2022年予想値(単位:百万円)
決算年月純利益(百万円)
2017年3月期669
2018年3月期1,076
2019年3月期1,167
2020年3月期1,328
2021年3月期973
2022年3月期(予想値)1,270
8893-新日本建物の過去の純利益と2022年予想値

まずは、新日本建物の過去5年の利益の推移と2022年の利益予想から見ておきましょう。

2017年から2020年にかけて、利益は伸びていました。
2021年も予想利益額は1450百万円で、少しずつでも右肩上がり。
そのへんが、僕が投資した理由でもあるのですが…

前年度の結果は減益でした。
とはいえ、売上の一部が翌期に遅れて計上されることになったのが原因なのですけど。

その売上が計上されるはずの2022年の予想利益額が、やや控えめなのが気になるところです。

22年3Qの利益は、前年同期比で倍増

売上高営業利益経常利益純利益
2021年3月期3Q8,879811588484
2022年3月期3Q11,8961,3091,137971
差額3,017498549487
増加率+33.98%+61.41%+93.37%+100.62%
<8893>新日本建物 2021年と2022年3Qの比較(単位:百万円)

2021年3月期3Qと、2022年3月期3Qの比較です。

売上も利益も、前年を大きく上回っています。
純利益は前年から倍増。

少し上で触れたように、前年の売上の一部が今年度に回っています。
それが前年から大幅な増益になっている理由の一つでしょう。

前年は戸建ての販売も行っていたのが、今年は資産運用型マンションに注力しているのも増益理由になるでしょうか。

戸建てよりもマンションのほうが戸数が増えて、総額も高くなるんですかね。

3Q単体では赤字、でも例年通りなら4Qに利益が集中

8893-新日本建物 3か月毎の利益(単位:百万円)
2022年経常利益2021年経常利益2022年純利益2021年純利益
1Q454347444282
2Q853224680191
3Q-17017-15311
4Q845489
8893-新日本建物 3か月毎の経常利益と純利益(単位:百万円)

前年同期比では、大幅な増益でした。

では、3か月毎に区切って、それぞれ単体で見てみると…

3Qは単体で見れば赤字です。

でも新日本建物は毎年、3Qは赤字か微益です。

利益の大半は、年度末の4Qに集中しています。

2022年3月期の予想利益額は1270百万円。
3Qまでの利益額は971百万円。

達成率は76%です。

前年度は4Qに、3Qまでの利益が倍増しています。

今年度は2Qに前年から繰り越した売上が計上されているので、倍増とはいかないでしょう。
でも前年並みの利益が加算されれば、予想利益額は余裕で達成。

過去5年で最高利益だった2020年3月期の利益を超えることも、十分可能性があります。

予想配当金は据え置き、前年と同額の22円を期末に一括配当

期末配当金
2018年3月期10円
2019年3月期18円
2020年3月期25円
(45周年記念配当5円含む)
2021年3月期22円
2022年3月期22円(予想)
<8893>新日本建物の過去の配当金実績と2022年3月期予想配当金額

新日本建物の配当性向は30%以上を目途としています。

2022年3月期の予想配当金は、22円。

予想利益額に対する配当性向は34.5%です。

予想を超える利益を上げたとしても、多少の増益では30%の目安の範囲内に収まるでしょうか。

前年度は減益ながら実質的な増配で、45%も配当金を出していますし、来期以降にお金が無くなるのは困りものです。

期末一括の高配当銘柄なので、権利日前後に高騰して急落する

8893-新日本建物の2021年株価チャート
画像はgoogle検索結果のスクリーンショットです

決算発表があった2月10日の新日本建物の株価は、427円でした。

予想配当金額は22円。

予想配当金利回りは、5.15%になります。

新日本建物は高配当で期末に一括で配当金を出します。
3月末の配当金権利日前後には、株価が大きく変動します。

2021年の3月末には、22円の配当金に対して50円程度の株価変動がありました。
2022年も2月で既に株価上昇の兆しが見られます。

権利日後の急落があると思うと、高値掴みが怖い。
でも早くに買うと、減益・減配が怖いですから、買い時が難しいですね。
2月発表の3Q赤字決算で株価が急落したら、そこが狙い目ではあるのですけど。

例年通りなら4Qで増益になるのですが、今年もそうなるとは限りません。
結局は、その企業が信じられるかどうかで、投資判断をするしかないのです。

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※個人の感想です。特定の銘柄等について、投資を推奨するものではありません。

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