1496 iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)についてです。
僕は投資対象としてアリと判断しました。理由はいくつかありますが、
- 国債よりも利回りが良さそう。
- 格付けの高い企業の社債なら、リスクも低そう。
- 米国政府のばら撒きでドル安になっても、為替ヘッジがあればダメージが少なくなりそう。
- 年4回の分配金が受け取れるので、投資でお金が増えてるって感じられそう。
といったところなんですが、2020年末に値上がり傾向だったのが、2021年初めから価格は下落しています。
その後、2021年中盤は価格が戻りつつありました。
しかし、米国の金利上昇、インフレ対策の金融引き締めなどを意識してでしょうか。
2021年後半はETFの価格はまたも下落していました。
2022年は米国の利上げで分配金は増額傾向ですが、ETFの価格は下落が続いています。
でも利上げで下落するなら、利下げになれば…?
このページでは、
- 1496 iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり) とはどんなETFなのか?
- 分配金はどれくらい?
- なぜ債券の投資信託ではなくてETFを購入するのか?
について解説したいと思います。
※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。
目論見書はブラックロック・ジャパン社のウェブサイトで観覧できます。
ブラックロック・ジャパン社のウェブサイトはこちら(新しいタブで開きます)→https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/287652/ishares-usd-investment-grade-corporate-bond-jpy-hedged-etf-fund
どんなETFなのか?
為替ヘッジをしながら、米ドル建てで比較的安全とされる社債に投資する…名称そのままですね。
主に信用格付けがBBB以上の社債に投資していますが、ごく僅かながらBBの社債が入ることもあります。運用中に格付けが下がったとかでしょうか。
2554 ETFと似てるけど連動する指数が違う
2554 NEXT FUNDS 米国投資適格社債(1-10年)(為替ヘッジあり)と似ていますが、対象とする指数が違います。
1496は「Markit iBoxx米ドル建てリキッド投資適格指数(TTM円ヘッジ付き)」、
2554は「ブルームバーグ・米国投資適格社債(1-10年)インデックス(円ヘッジ・円ベース)」を指標としています。具体的な違いは…目論見書を読みましょう。
2554 ETFについてはこちらのページで解説していますので、興味がありましたら是非ご覧ください。
株式ほど価格が変動せず、国債よりもちょっとだけ利回りが良いけど、リスクもちょっと高い、といった感じでしょうか。ただし、債券も下がるときは下がるので、過去の価格変動なども参考にしたほうが良いでしょう。
2554ETFとの大きな違いは、投資する社債の残存年数
2554ETFは(1-10年)とあるように、10年以内に償還される予定の債券を投資対象にしています。
1496ETFは、投資対象の社債に残存年数の制限を設けていません。
1496ETFは残存年数が20年超の長期債券も保有
ブラックロック社のWebサイトで内訳を確認できるのですが、保有比率の半分程度は10年以内の比較的短期で償還される債券なのですが、残存年数が20年超の長期債券もかなり保有しています。
債券は償還期限が長いほど利率が高くなりやすい
債券は償還期限が長いほど金利が高くなり、代わりにリスクが高くなる傾向があります。
そのため、1496ETFのほうが分配金が高くなり、その分リスクも高くなるのではないかと思われます。
為替ヘッジを行う
為替ヘッジをしているので為替変動リスクを多少和らげる効果を期待していますが、そのぶんコストもかかってしまいます。
為替ヘッジを行っていると、円高時には円換算した際の価値が下がり難く、円安時には価値が上がらない、と思われます。
信託報酬は年0.308%程度
1496ETFの信託報酬は、年0.308%程度です。
1496ETFが投資対象としているLQDの経費率は年0.14%程度です。
LQDの経費率は1496ETFの信託報酬「0.308%程度」に含まれているようです。
米国ETFの「LQD」に投資している
多数の社債を投資対象としていると価格変動がわかりにくいのですが、このETFは米国のLQDというETFを直接の投資対象としているので、値動きが追いやすくなっています。Google先生に「LQD」と聞けば教えてもらえます。
米国市場でLQDの価格が変動したら、1496ETFも同じような値動きをします。
LQDの規模が大きい為か、活発に取引がされており、価格変動の幅が大きいかもしれません。
地域を米国企業に限定はしていない
米ドル建てではありますが、米国企業の社債とは宣言していません。
三菱UFJなどの日本企業のドル建て社債も含まれています。
しかし、8割超が米国なので、ほぼ米国の社債になります。
2623 ユーロ建て投資適格社債 ETF というのもありますが、僕の評価では…うーん。
欧州の政策金利は米国と比べると低めのようなので、ユーロ建ての社債の金利もドル建ての社債と比べると低めになりそうです。
欧州と米国の金利変動のタイミングとかも違うでしょうから、金利変動による債券価格の変動を狙うには良いかもしれないですけど。
分配金は?
債券のETFは、受け取った金利を決算日毎に収益分配金として、ETF保有者に分配します。
分配金は年4回、1月、4月、7月、10月に決算
年4回の分配金が貰えます。
1496ETFは毎年1月、4月、7月、10月の各11日に決算を行い、翌月に分配金が支払われます。
このETFの場合はLQDという米国のETFを投資対象としているので、LQDの分配金3か月分が、年4回支払われることになります。
ただし、信託報酬として年0.3080%程度が引かれるので、LQDを保有するよりは分配金が少なくなると思われます。
コロナ後に分配金は減少、でも米国債よりは多い
以前はETF1口あたりの分配金が20円になる月もあったのですが、2021年は15円を下回る月もあり、分配金は減っています。
決算月 | 1496 IG債ETF 分配金 | 1482 米国債ETF 分配金 |
2023年4月 | 17円 | 8円 |
2023年1月 | 17円 | 6円 |
2022年10月 | 16円 | 8円 |
2022年7月 | 15円 | 7円 |
2022年4月 | 14円 | 7円 |
2022年1月 | 13円 | 7円 |
2021年10月 | 12円 | 7円 |
2021年7月 | 14円 | 9円 |
2021年4月 | 14円 | 6円 |
2021年1月 | 16円 | 10円 |
2020年10月 | 14円 | 10円 |
2020年7月 | 15円 | 9円 |
2020年4月 | 20円 | 16円 |
2020年1月 | 17円 | 11円 |
決算日が同じETFの「1482-iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(H有)」と比較すると、まだマシな分配金が出ているかな、と思いますが。
利上げで利回りは上昇している、けど…
2021年は減額が続いていた分配金額も、2022年からは若干ですが増額してきています。
分配金利回りは、勢いよく上昇しています。
ETFの価格が下がっているからなのですが。
画像はgoogle検索結果のスクリーンショットです
1年間の分配金額よりも、1週間の下落のほうが大きいくらいです。
日米の金利差拡大で為替ヘッジのコストが増える
上の方に「為替ヘッジにはコストがかかる」と書きましたが、具体的には対象の通貨間の金利差がヘッジコストになります。
米国の金利が上昇して日本の金利が低いままだと、ヘッジコストが増加します。
ヘッジコストが増加しても、債券の金利も増えていればさほど問題はありません。
しかし、短期金利が上昇して長期金利が上がらないか下がると、ヘッジコストだけが増加して債券の利息は増えないことになります。
米国が政策金利を上げた際に、為替ヘッジ有の債券利回りは下がる場合があります。
LQDより分配金は減るけど、小分けで買える
1496ETFではなく米国市場でLQDを直接買い付けることで、信託報酬などの中抜きを減らして、利回りを上げることもできるかもしれません。
しかし、海外株式・ETFの取引は手数料が割高になる場合があります。
「〇〇が無料」などと書かれていても、他のところに手数料がかかるかもしれません。金融機関も商売ですから、どこかで稼いでいるんですよ。
また、LQDは1口あたり110ドルほどしますが、1496 ETFは1口2000円程度で買えるので、少額で投資することができます。
1日1本の缶コーヒーを減らせば、1か月に1口ずつ積み立てていけるんじゃないでしょうか。
僕は10口単位で買っているので、小分けにしている意味が無いのですが。
投資信託じゃなくてETFを買うのは何故か?
投資適格社債(IG債)の投資信託も探したんですが、良い感じのファンドは見つかりませんでした。信託報酬が1%を超えていたり、ラップ口座専用だったりで、税金を引かれてもETFのほうがリターンが良くなるのではないか、と思いました。
分配金利回りが3%と仮定すると、税金は約20%なので約0.6%になるでしょうか。
ETFの信託報酬の0.3080%を合わせても1%を超えません。
ETFは貸株をすれば金利も貰えますし。
もっとも、僕が見た投資信託は信託報酬が高いうえに、分配金も出すので税金面でも有利さが無かったのですが。
債券の投資信託を選ぶとしたら、先進国債券ファンドになるでしょうかね。
2021年1月~2022年1月の価格変動を見てみよう
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僕が購入した頃をピークにETFの価格は下落したのですが、2021年3月を底に上昇に転じました。
しかし、米国で金利上昇が近づいてきた2022年1月、ETFの価格は急落しました。
金利が上がると、利回りは高くなるけど債券の価格は下がる
今は低金利なのですが、米国では今後、金利の上昇が予想されます。
金利が上昇すれば債券の利回りも上昇するのですが、低金利で発行された債券は価値が下がります。
誰だって、低い金利で発行された債券よりも、高い金利の債券を買いたいですからね。
なので、今発行されている低金利の債券は、金利上昇後には価値が下がるのでは? という懸念があります。
ETFなので、保有する債券は入れ替わっていく
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金利は一気に上げるのではなく、間を開けながら少しずつ上げていくと思うので、その間にETFに組み込まれている債券も入れ替わっていくのではないかと思われます。
ただ、インフレの加速状況によっては、急上昇も無くは無いのですが、それやっちゃうと株価大暴落で経済が大混乱になりそうですけど。
米国はリーマンショックの際にも政策金利を引き下げたあと、少しずつ上げていきました。
LQDの価格も時には下げながらも、ゆるやかに上昇していました。
今回はどうなるかわかりませんが、金利が上昇して価格が落ち着いてから買うか、多少価格が下がるかもしれないけど分配金を貰いながら価格上昇するのを期待して待つかは、人それぞれかなと思います。
ただ、含み損を抱えていても、分配金は税金を引かれるのですが。
金利の上昇が緩やかではなく急激に引き上げられたら、ETFの価格は勢いよく下落すると思います。
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こんなふうに。
まとめ
債券は株式と比較すると値動きが小さいような印象があるかもしれません。
株式は業績次第で大きく値動きしますけど、社債は倒産危機でもなければ業績の影響は受けにくいです。
でも金利の影響を大きく受けます。
平時は金利が大きく動くことは無いので、債券の価格も大きくは動きません。
しかし金融危機になれば金利が下がりますし、緩めすぎてインフレになったら上がります。
2022年の急激な金利上昇は異例の事態で、そうそう無いと思うのですが。
金利の変動が落ち着いてETFの価格も落ち着くのを待つのも一つの手段ですし、金利が高くてETFが安いうちに買うのもアリかなーと思います。
どこが底値になるかはわかりませんけど。
格付けが高くても社債より国債が良い、という方は米国債ETFとかも検討してみると良いのではないでしょうか。
米国債ETFのなかには、株式ETF以上の価格変動をする銘柄もありますけど…。
やすふじのETFの運用状況はこちらのページで見ることができますので、どんな感じになっているか見ていただければと思います。→株式ETF運用状況
※個人の感想です。特定の商品への投資を推奨するものではありません。
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