配当利回りの高い株式やETFは、一時的な好業績で配当金が増額していたり、前回の配当金が好業績で高かったけどその後に株価が低迷して利回りが高く見えるだけだったりと、
『高配当株って、不安定なのでは?』
と、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
常に良い業績で高い配当金を出している企業は株価も高騰して、利回りは低くなって行くはずです。
投資をするなら、業績が安定している企業に投資をしたい。
そう思うのも当然です。
そこで今回ご紹介する銘柄は、こちら。
<8951>日本ビルファンド投資法人。
総額1兆円以上と、J-REITでも最大の資産規模を誇るリート銘柄です。
分配金利回りは高くもなく、低くもなく。
東証リート指数ETFとあまり差がなさそうで、購入するタイミングによって前後しそうです。
コロナ禍で分配金が減額している銘柄も少なくない中、日本ビルファンド投資法人の年間分配金は減るどころか増額することもあったので、安定した分配金収入になりそうです。
もっとも、東証の取引価格は安定とは程遠いようですが。
このページでは、
- <8951>日本ビルファンド投資法人とは、どんなREIT銘柄なのか?
- 分配金はいくらくらい?
- 取引価格(1口単価)はおいくら万円?
などについて、解説したいと思います。
※1口単価、分配金利回り、時価総額などは、個別銘柄のリートの中で高め、低めとなっております。
※予想分配金、単価などは日々変動します。最新の金額等は公式発表等をご確認ください。
※あくまでも個人の感想です。特定の銘柄、商品などへの投資を推奨するものではありません。
どんなリート銘柄なのか?
証券コード | 8951 |
銘柄名 | 日本ビルファンド投資法人 |
Webサイト | https://www.nbf-m.com/nbf/ |
運用資産 | オフィスビル特化型 |
物件の地域 | 都心部中心 |
1口単価 | 高い |
分配金利回り | 中間 |
時価総額 | Jリート最大級 |
2023年予想分配金 | ¥23,000 |
2023.5.2終値 | ¥560,000 |
予想分配金利回り (2023.5.2時点) | 4.11% |
権利確定日 | 6月末、12月末 |
分配金入金日 | 9月、翌年3月中旬 |
2001年に上場した、J-REIT最古参銘柄の一つです。
三井不動産がスポンサーにいて、三井不動産グループから物件を取得することが多いようです。
ビルに入居しているテナントとしても三井不動産が多く、3分の1以上を占めています(2021年12月31日時点)。
ただ、三井不動産は日本ビルファンド投資法人から借りた物件を別の企業に貸し出ししています。
運用資産はオフィスビルに特化
運用資産はオフィスビルに特化しています。
保有物件数は70(2023年2月15日時点)。
資産規模が大きいという割には少ないと感じるかもしれませんが、都心部のビルを中心に保有しているので、1件あたりの単価がとても高いです。
一番高いやつで、新宿三井ビルディング、1800億円(鑑定評価額)。
この1件で、日本ビルファンド投資法人の資産の10%を超えています。
保有物件は都心部に集中
地域 | 保有割合 |
都心5区 | 約6割 |
東京23区 | 約8割 |
東京近辺 | 少々 |
その他の地域 | 1割強 |
日本ビルファンド投資法人のWebサイトを参照
<8951>日本ビルファンド投資法人が保有する物件は、都心部に集中しています。
その他の地域は、大阪、名古屋、札幌、ほか地方都市ですね。
都心部に集中しているので、いろんな意味でお高い物件が多いです。
地域の偏りがリスクになるかも?
しかし、保有物件が集中しているので、都心部に大規模災害が発生した場合などには、資産価値が大きく低下するなどのリスクになり得ます。
高額物件への集中投資か、地域を分散した投資か。
そのへんは個人の好みの問題でしょうか。
東京で有事の場合、日本全体が落ち込みそうですけど。
資産規模はJ-REITで最大
日本ビルファンド投資法人の時価総額は、1兆円を超えていました。
保有物件の取得総額は、1兆4千億円(2022年2月15日時点)。
東証取引価格×発行済投資口数の時価総額は、1兆1500億円(2022年4月18日時点)。
どちらもJ-REIT銘柄の中で最大規模で、時価総額では唯一の1兆円超え銘柄でした。
2023年2月17日時点では、1兆円を割っています。
三井不動産の仲介で安定収益? 手数料で収益減?
日本ビルファンド投資法人が保有する物件の賃貸面積の3分の1以上は、メインスポンサーである三井不動産に貸し出ししていることになっています。
そこに三井不動産のオフィスがある、ということではなくて、三井不動産は別の企業等に貸し出ししています。
三井不動産の営業力でテナントを確保して、安定した収益を確保できている、と考えることもできますが、そこに仲介手数料的なものが入って、収益が減少している、とも考えられます。
稼働率が落ちている状況では空き室を減らして収益増加に繋がると言えますが、稼働率が高くなると仲介が入らないほうが高い賃料が得られたのに…ってこともあるかもしれません。
分配金は年2回
分配金は年2回あります。
コロナ後に減額している銘柄も見受けられる中、日本ビルファンド投資法人の分配金は増加傾向でした。
6月と12月の末に決算を行い、9月と翌年3月に入金
権利確定日 | 6月末、12月末 |
分配金入金日 | 9月、翌3月中旬 |
日本ビルファンド投資法人は、6月末と12月の末に決算を行います。
分配金が入金するのは決算の2カ月半くらい後で、9月と翌年3月の中旬になります。
権利確定日は決算日と同じで、6月末と12月末です。
分配金を受け取るには権利日に投資主名簿に名前が載っている必要があります。
名簿の更新には2営業日くらいかかります。
権利日の数日前までに購入していないと分配金の権利を得られないので、権利付き最終日までに購入を終える必要があります。
月末の権利日に購入しても、分配金は受け取れないです。
分配金額はコロナ後も増加傾向だった
決算年月 | 分配金額 |
2023年12月 | ¥11,500(予想) |
2023年6月 | ¥11,500(予想) |
2022年12月 | ¥11,500 |
2022年6月 | ¥13,476 |
2021年12月 | ¥11,848 |
2021年6月 | ¥11,684 |
2020年12月 | ¥11,000 |
2020年6月 | ¥10,986 |
2019年12月 | ¥11,011 |
2019年6月 | ¥10,560 |
2018年12月 | ¥10,283 |
2018年6月 | ¥9,650 |
日本ビルファンド投資法人のWebサイトを参照
https://www.nbf-m.com/nbf/ir/distribution.html
日本ビルファンド投資法人の分配金は、1口でも1万円を超えるほどの高額になっています。
コロナ禍で稼働率、入居率が下がっていて、分配金が減っているリート銘柄も少なくないのですが、日本ビルファンド投資法人の分配金はコロナ禍以前よりも増えています。
2022年の12月は6月より減額する予想ですが、年間の分配金額は2021年よりも増えていますね。
2022年12月の分配金は減額だが…
新型コロナの長期化によるオフィス需要の減少、保有物件の入れ替えなどがあって、日本ビルファンド投資法人の分配金は2022年6月の13,476円をピークに、12月には11,500円へと減額しました。
2023年の分配金も、11,500円の見込みです。
【短期方針】
・オフィス賃貸マーケットが落着き、成長局面を迎えるまでの当面の間、現状の目標DPU11,500円に満たない場合には内部留保を取崩し、又は譲渡益で充当します
*目標DPU水準の継続的な切り上げを目指します
日本ビルファンド投資法人
2021年12月期(第41期)決算説明会資料より引用
オフィス需要の減少等で賃料収益は減っているけど、これまでに貯め込んだ利益があるので、本格的な需要回復が来るまでは内部留保を取り崩して分配金を維持する方針のようです。
1口の単価はとても高い
1口あたりの分配金額が1万円以上ととても高額なのですが、そのぶん1口の単価がとても高いので、少額投資には向いていないです。
2022年、1口単価は60万~70万円
<8951>日本ビルファンド投資法人の1口の単価は2022年は60万円~70万円の間をうろうろしていました。
しかし日本銀行が金利を上昇させた影響もあって、2022年末には50万円台に下落しました。
1口の単価はとても高いです。
2022年4月21日の終値では最高値ではないようですけど、J-REIT銘柄の中で3番目の高さです。
スターアジアの10倍くらいです。
コロナ暴落の直前には90万円近かった
画像はGoogle検索結果のスクリーンショットです
コロナ暴落の直前には1口で90万円くらいしていました。
その頃よりも分配金額は増えているのに安く買える、という見方ができるなら、お買い得なのかもしれないですね。
当時の高値で買っていたら、2020年の利回りは2.5%くらいです。
2022年には3.5%くらいまで利回りが上昇しているので、そこだけを見たらお買い得ですね。
保有物件の資産価値とか、円の価値とか、増資とか、いろいろな物が影響しているんだと思いますけど。
分配金利回りに大差が無いのであれば、1口価格が安い東証リート指数ETFに投資するのも悪くない手段だと思います。
増資で価格が下落した時が買い時かも?
この日本ビルファンド投資法人に限ったことではないのですが、REIT銘柄は度々増資を行います。
その際に、発行済みの投資口数が大きく増えます。
日本ビルファンド投資法人は2022年1月にも増資を行っています。
POは割引価格で購入することができる
PO、公募売り出しで数パーセントのディスカウント、割引価格で購入することができるのですが、その際に東証の取引価格が大きく下がることがわりとあります。
株式などは新株を発行すると希薄化、1株あたりの利益の減少が嫌われるので、株価が下がりやすいです。
事業拡大のための増資もあれば、資金繰りに困っての増資で資金調達ということもあります。
リート銘柄の場合、増資後は多くの場合で新たな物件の取得が行われます。
増資で物件を取得すれば、分配金総額が増える
物件が増えれば収益が増えて、分配金の総額が増えます。
増える分配金総額と、口数の関係次第では利回りが下がるのですが、新しい物件は賃料も高くなりやすいので、1口あたりの分配金額が増えることもあります。
中古物件の購入もあり得ますし、入居率が伸びない場合もあるので、絶対ではないのですが。
資金繰りに困っての増資とは違って、新たな収益源確保の為の増資であれば、数パーセントの割引で買えるかもしれないPOに乗ってみるのも、1つの手段ではないでしょうか。
競争率は高いでしょうけど。
まとめ
<8951>日本ビルファンド投資法人について、簡単にまとめてみました。
- 資産規模はJ-REIT銘柄の中でも最大級。
- 分配金額は高いけど、1口単価もとても高い。
- 分配金利回りは高くは無いけど、低くも無い。
- 三井不動産と一蓮托生かも?
物件の取得も三井不動産。
物件の貸し出しも、3分の1以上が三井不動産。
まあ、強力なスポンサーですね。
そういう銘柄です。
三井不動産の株式を1単元買うよりも1口単価は高いですが、利回りは高いですよ。
時価総額が大きいので、東証リート指数にも大きな影響を与えている銘柄です。
ETFを買う場合でも、ここの業績がかなり影響します。
僕の資産規模だと、1口買うだけでポートフォリオの主力になるくらいの単価の高さが少し厄介ですね。
僕の株・ETF運用状況はこちらのページでご覧になれますので、参考になることがあるかもしれません→株式ETF運用状況・過去ログ
※1口単価、分配金利回り、時価総額などは、個別銘柄のリートの中で高め、低めとなっております。
※予想分配金、単価などは日々変動します。最新の金額等は公式発表等をご確認ください。
※あくまでも個人の感想です。特定の銘柄、商品などへの投資を推奨するものではありません。
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