今回は「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」です。
投資にもいろんな種類がありますが、不動産投資というのも魅力のある分野ではないでしょうか。
不動産投資にも様々な投資方法があるのですが、そのうちの1つ「不動産投資信託」、REITのETFの1つ「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」について取り上げたいと思います。
不動産投資は上手くやれば高い利回りを得ることができます。
毎月の家賃収入、とても魅力的です。
でも不動産は高いです。
相当額の元手資金が必要ですし、頑張って不動産を手に入れても入居者がいなければ家賃収入はゼロ。
ローンの支払いだけが残るなんてこともありえます。
そこで今回ご紹介するのが、JリートETF。
1口2千円程度と、少額でも投資ができて、毎月とはいきませんが年4回の分配金が受け取れます。
このページでは、
- リート(REIT)とは何か?
- リートETFのメリット・デメリットは?
- iシェアーズ・コア Jリート ETF の特徴は?
- 分配金はいくら?
などについて解説いたします。
※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。
目論見書はブラックロック・ジャパン社のウェブサイトで観覧できます。
ブラックロック・ジャパン社のウェブサイトはこちら(新しいタブで開きます)→https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/279435/ishares-core-japan-reit-etf
リート(REIT)って何?
投資にもいろんな種類がありますが、不動産投資というのも魅力のある分野ではないでしょうか。「不動産投資で資産〇億円!」とか「家賃収入で毎月〇万円!」とか、煽る記事も多数見かけます。
不動産の取得には大金が必要
ですが、不動産の取得には最低でも数百万、物によっては億単位の資金が必要で、上手くやれば高収入を得られるのでしょうが、下手をしたら借金だけが残るハイリスク・ハイリターンなものだと思います。
不動産投資のアレコレは端折りますが、まとまった資金が必要で、それなりに高収入が無いと手が出せない、ということです。
そこで出てくるのがリートです。
REITとは不動産を対象とした投資信託
リートというのは不動産を投資対象とした投資信託なのですが、多数の投資家から資金を集めて、物件を取得して、賃貸収入等を投資家に分配する、という感じです。
現物の不動産は1件購入するだけでも高額ですが、その1件に入居者が入らないと収入になりません。天災や人災などで評価額が下がるリスクもあります。
しかし、複数の物件を購入してリスクを分散するには、更に多額の資金が必要になります。
リートは資金を集めた投資法人が複数の物件を取得して運用するので、リスクを分散することができます。
上場リートは株式のように売買する
リートの中で、証券取引所に上場しているものは、株式のように証券会社を通して購入することができます。
いくつかの管理会社が手数料を中抜きするので、自分で物件を取得するより利回りは低くなるでしょうが、投資家はお金を出すだけで分配金を受け取れるので楽です。
資金の流動性が高い
上場しているリート銘柄は東証が開いている間は売買できます。
売買が成立した後、名義変更とかの手続きもあって即日とはいきませんが、2営業日程度で出金可能になります。
現物不動産は売却に時間がかかります。
状況次第では年単位で売れないこともあるようです。
お金が必要になった時、数日後には入金できる点は上場リートのメリットと言えます。
上場していないリートもある
上場していないリートもあって、それは私募リートなどと呼ばれていますが、これは一般向けではありません。
億単位のお金がかかるそうです。
不動産クラウドファンディングも少額投資できる
「1口〇万円から不動産投資!」みたいな広告も見かけますが、これは「不動産クラウドファンディング」と呼ばれているそうです。
不動産クラウドファンディングでも少額投資できますが、業者によっては途中解約ができないなど、資金の流動性は低いです。
現物の不動産よりも少額で投資できる
リートにも多数の銘柄(不動産投資法人)があって、1口数万円から投資できるのですが、高額のものは1口で数十万円します。
日本ビルファンド投資法人は1口が50万円くらいです。
そこで、多数のリート銘柄をまとめて小分けにして、1口千円程度から投資できるのがリートETFです。
リートETFなら少額で投資できて、分配金を受け取ることが可能なのです。
複数のリート銘柄に分散投資できる
1件のリートでも複数の物件に分散投資していますが、ホテル、商業施設、個人向け住宅など、特定の分野や、特定の地域に集中している銘柄が多くあります。
リートETFは複数のリート銘柄を組み合わせるので、様々な分野、地域に分散して投資することができます。
NISA口座で収益を非課税にできる
リートやリートETFはNISA口座で収益を非課税にすることも可能です。
リートにも投資信託があるので、そちらはETFよりもさらに少額で投資可能で、NISA口座でも購入できますね。
つみたてNISAでは購入できないそうです。
そこそこ高い分配金利回りが期待できる
2021年2月18日時点の分配金利回りは、下記表の通りでした。
コード | 名称 | 分野 | 2021年2月18日 分配金利回り |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | REIT | 3.46% |
1475 | iシェアーズ・コア TOPIX ETF | 日本株式 | 1.47% |
1496 | iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF | 米国社債 | 2.49% |
基準価額や市場価格が違うので比較が難しいのですが、Jリート ETFはそれなりに高い分配金利回りが期待できます。
でも個別のリート銘柄にはETFよりも高い利回りのものがありますし、「不動産クラウドファンディング」も高い利回りがうたわれています。
それに、分配金だけに注目していると、価格変動による損失を受けるリスクがあるので注意が必要です。
暴落時の下がり方がえげつない
高い利回りが期待できる一方で、価格変動のリスクは? というと、これがえげつないです。
上で挙げた3つのETFのチャートを見てみましょう。
青が1476 Jリート、赤が1475 TOPIX、緑が1496 米社債です。
画像はYAHOO!Japanファイナンス https://finance.yahoo.co.jp/ のスクリーンショットです
新型コロナによる暴落時には、1476 JリートはTOPIXよりも大きく値を下げて、その後の戻りも遅いです。資産が減ることを嫌う人は、リートは避けたほうが良いかもしれませんね。
上のチャートでは、債券ETFが比較的価格の下落が小さかったようです。
リートは不動産価値(資産価値)の下落や賃貸収入(将来の利益)の低下などの不安が出てくると、極端に価格が下落することがあるようです。
そこらへんは別のページでも解説しています。
2021年には経済活動再開への期待感や、世界的インフレの影響なのか不動産価格高騰などがありました。
その結果、リートの価格も上昇していったのですが…。
1476はどんなETFなのか?
ここまでにリートETFとは何か、ということを説明してきましたが、ここからは
「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」について説明したいと思います。
分配金は年4回
1476 ETFの分配金は年4回あります。
2月、5月、8月、11月に決算を行い、翌月に支払われる
1476ETFは2月、5月、8月、11月の年4回決算を行います。
決算の約40日後に分配金が支払われます。
複数ETFを組み合わせて毎月分配金を受け取ることも
決算月が違うリートETFを組み合わせて投資しておくと、毎月分配金を受け取ることも可能になります。
コード | 銘柄名称 | 信託報酬 (年率) | 決算月 | 売買単位 |
1343 | NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 | 0.1705% | 2,5,8,11月 | 10 |
1345 | 上場インデックスファンド Jリート隔月分配 | 0.33% | 1,3,5,7,9,11月 | 100 |
1398 | SMDAM 東証REIT指数上場投信 | 0.242% | 3,6,9,12月 | 10 |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | 0.165% | 2,5,8,11月 | 1 |
1488 | ダイワ上場投信-東証REIT指数 | 0.1705% | 3,6,9,12月 | 10 |
1595 | NZAM 上場投信 東証REIT指数 | 0.2728% | 1,4,7,10月 | 10 |
1597 | MAXIS Jリート上場投信 | 0.1595% | 3,6,9,12月 | 10 |
2552 | 上場Jリート(東証REIT指数) 隔月分配(ミニ) | 0.2695% | 2,4,6,8,10,12月 | 1 |
2555 | 東証REIT ETF | 0.2695% | 1,4,7,10月 | 10 |
2556 | One ETF 東証REIT指数 | 0.1705% | 1,4,7,10月 | 10 |
信託報酬の低いものを組み合わせて毎月分配金を受け取ろうとすると、1476、1597、2556 の3つが決算月の重ならない組み合わせになります。
1345と2552の2つでも毎月受け取ることができるのですが、1345ETFは売買が100口単位です。
1回の取引額が20万円くらいになって、少し高額です。
売買単位は1口単位
1476ETFにはもうひとつ特徴があります。
それは、売買単位が1口だというところです。
1口単位なので少額投資に向いている
東証REIT指数に連動するETFはいくつかあって、どれも1口あたり2000円前後で大差はないのですが、1476ETFと2552ETFは1口単位で購入できます。
他は10口とかです。
10口購入すると2万円程度になります。
毎月1口2千円くらいずつ投資をする、ということができるのが、この「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」になると思います。
分配金の端数が翌期に繰り越される
しかし、「売買単位が1口」である為か、分配金額に小数点以下がありません。
端数は翌期に繰り越されていると思いますが、小数点以下が切り捨てられているぶん、他のETFよりも分配金額が少なく感じられる場合があります。
信託報酬は年0.165%
1476ETFの信託報酬は年0.165%です。
JリートETFの中でも低めの信託報酬です。
決算月が同じ東証REIT指数ETFだと「1343 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」が同じ2月、5月、8月、11月の決算で、信託報酬は「0.1705%」です。
ETFの信託報酬は分配金額に影響しますが、0.0055%の差では年間で1円も違うとは思えません。
1343 ETFと1476 ETFは同じ月に決算を行っているのですが、2021年2月の分配金は以下の通り少し差がありました。
コード | 名称 | 2021年2月決算の分配金 |
1343 | NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 | 100口当たり 1660円 |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | 1口当たり 16円 |
1口あたり0.6円の差があります。
しかし1476ETFは売買単位が1口なので、小数点以下の分配金が出ても端数の扱いに困ります。
『信託報酬は1476のほうが低いのに』と思うかもしれませんが、これは基準価額に少し差があるからです。
コード | 2021年2月1日終値 | 2021年2月決算の分配金 | 割合 |
1343 | 1981円 | 1口あたり 16.6円 | 0.838% |
1476 | 1903円 | 1口あたり 16円 | 0.84% |
投資金額に対する分配金の利回りでは、ほぼ同じになっています。
市場価格は基準価額と多少のズレがあるので、少し安めに買うことができれば、1476ETFのほうが利回りが高くなる場合もあります。
信託報酬の僅かな差など気にすることもないと思います。
「東証REIT指数」に連動する
REITの指数はいくつかあるのですが、その中に「東証REIT Core指数」というものがあります。「東証REIT Core指数」に連動するETFは「東証REIT指数」に連動するETFよりも信託報酬が少し高いです。
「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」は名称に「コア」が付いていますが、「東証REIT指数」に連動するETFです。
「東証REIT Core指数」ではありません。
「iシェアーズ・コア」というブランド名? なのでしょう。
分配金はいくら?
リートETFで気になるのは、分配金がおいくらか、ですよね。
1476ETFの分配金実績
決算月 | 1口あたり分配金 |
2023年2月 | 17円 |
2022年11月 | 19円 |
2022年8月 | 16円 |
2022年5月 | 19円 |
2022年2月 | 16円 |
2021年11月 | 18円 |
2021年8月 | 15円 |
2021年5月 | 19円 |
2021年2月 | 15円 |
2020年11月 | 18円 |
2020年8月 | 16円 |
2020年5月 | 19円 |
2020年2月 | 19円 |
2019年11月 | 16円 |
ブラックロック・ジャパン社のWebサイトから引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/279435/
2月と8月は若干少なめ、5月と11月は少し多めです。
個別REITの分配金は年2回の銘柄が多いので、少し偏りがあります。
年間の分配金合計
年 | 2月 | 5月 | 8月 | 11月 | 年間合計額 |
2023年 | 17円 | – | – | – | – |
2022年 | 16円 | 19円 | 16円 | 19円 | 70円 |
2021年 | 15円 | 19円 | 15円 | 18円 | 67円 |
2020年 | 19円 | 19円 | 16円 | 18円 | 72円 |
ブラックロック・ジャパン社のWebサイトから引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/279435/
2022年の年間の分配金は、16+19+16+19=70円。
2021年の年間の分配金は、15+19+15+18=67円。
2020年の年間の分配金は、19+19+16+18=72円。
2021年の分配金は、2020年と比べると若干減りました。
2022年の分配金は70円。
2021年よりは増えましたが、2020年と比べたらまだちょっと少ないです。
ETF価格は2021年中盤に上昇したが…
コロナ暴落後、2020年は年末までリートの価格は上がらず安値だったのですが、分配金は2019年よりも多くでていました。
2021年中頃にはコロナ前に近いところ、2200円台半ばまでリートETFの価格が上がっていました。
しかし、ETFの価格は上昇しても分配金は減っていて、分配金利回りが低下しています。
2021年後半には、ETFの価格はまた下がって2100円前後になりました。
画像はgoogle検索結果のスクリーンショットです
コロナ禍によってオフィス街から人が減って、賃料が減るのではないか、との不安からリートの価格は上昇するのが遅れたのでしょうか。
2020年は様子を見ていた人も、ある程度の分配金が出ていて、価格低下で利回りが高くなっているのを見て、戻ってきたんですかね。
ところが、価格は上がったけど分配金はむしろ減ってきて、利回りが下がった。
だから、やっぱりやめたと。
僕もリートETFはあまり買い増しせずに、高配当株の比率を高くしましたけど。
2022年はETFの1口単価は少し下がって、2000円前後で推移しています。
まとめ
- そこそこ高い分配金利回りが期待できる。ただし下がり気味。
- リートETFは不動産関係の投資の中でも少額で投資できる。
- 1476ETFは、リートETFの中でも特に少額で投資できる。
- 価格が下がるときは下がるので、それなりにリスクはある。
- 証券会社に注文して売買するだけなので、管理とかが楽。
- 売却時にあまり時間がかからないので、現物不動産よりも資金の流動性が高い。
まとめると、こんな感じでしょうかね。
リートを不動産投資と呼ぶのは微妙なところですが、「不動産投資法人」への投資になるので、まあ不動産関係かな、ということで。
ある程度まとまった金額を投資できるなら、リートETFよりも個別のリート銘柄のほうが、高い利回りになる銘柄も多くあります。
分配金だけでなく、株主優待制度が設けられているリート銘柄もあります。
なので、少額ずつリートETFを買い集めて、ある程度たまったら、ETFを売却して個別のリート銘柄に乗り換える、というのもありかもしれません。
2566 日経ESGリート ETFについて解説しているページもあるので、よろしければご覧ください。
やすふじのETFの運用状況は、こちらの株式ETF運用状況ページでご覧いただけますので、投資した結果どうなっているか気になる方は、そちらもよろしくどうぞ。
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※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。
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