不労所得が欲しい、投資に興味がある。
貯蓄から投資だとか、新しいNISAだとか、老後の問題だとか。
できることなら投資をやってみたい、そう思うものの…。
でも何万円もまとまったお金を用意できない。
株は暴落が怖い。
いろんな理由で、投資に手を出せない人もいるかと思います。
そこで今回ご紹介するのがこちら。
iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)。
『日本国債なら安全』とか見かけたことがある方もいるかもしれません。
でも日本国債は金利が少ないです。
ネット銀行の普通預金よりも低いくらいです。
米国債は違います。
そこそこ金利が高いです。
日本企業の株よりも高い利回りになることもあります。
そして発行元は米国なので、破綻リスクは極めて小さい。
ただし…損失がでる可能性もそこそこあるので、注意が必要なのですが。
どんなETFなのか?
証券コード | 2621 |
銘柄名 | iシェアーズ 米国債20年超 ETF (為替ヘッジあり) |
Webサイト | https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/316089/ |
運用会社 | ブラックロック・ジャパン株式会社 |
投資対象 | 米国の国債(満期20年以上) |
為替ヘッジ | あり |
対象インデックス | FTSE米国債20年超セレクト・インデックス (国内投信用、円ヘッジ・円ベース) |
信託報酬 | 0.154% |
売買単位 | 1口 |
直近1年間の 分配金(1口) | ¥32 |
2023.5.2終値 | ¥1,480 |
分配金利回り (2023.5.2時点) | 2.16% |
決算日 | 1月、4月、7月、10月の各11日 |
分配金入金日 | 決算日の翌月中旬 |
名称が長いのでこのページでは「2621ETF」と表記しているところが多いです。
投資対象は満期20年以上の米国債
2621ETFは名称にあるように、満期(償還)までの残り期間が20年を超える米国債に投資しています。
発行元が米国なので、株式や社債などのように破綻するリスクは小さいといえます。
ただし、リスクが無いわけではありません。
期間が長いほどリスクが高い
国債などの債券は、満期までの期間が長いほどリスクが高くなります。
期間の長い社債だと満期までに倒産する可能性がありますし、国債だって政変で何が起こるかわかりません。
それに、後から条件の良い・もっと金利の高い債券が出てくるかもしれません。
そうなると、条件の悪い債券は価格が安くなります。
2621ETFは20年以上の超長期の国債に投資するので、米国債に投資するETFの中ではリスクが高いETFになります。
期間が長いほど金利が高い傾向がある
リスクが高いだけの債券だと買う人もいなくなってしまうので、期間の長い債券ほど金利が高くなる傾向があります。
そのため、2621ETFは米国債のETFの中ではハイリスク・ハイリターンであると言えます。
米国ETFの「TLT」と似た値動きをする
iシェアーズのETFには、1496ETFは米国ETFの「LQD」、1497ETFは「HYG」など、米国ETFを直接の投資対象としているものがあります。
でも2621ETFは米国ETFではなく、米国債を直接の投資対象にしているようです。
しかし米国のiシェアーズETFにも米国債20年超 ETFがあります。
「TLT」と呼ばれるETFなのですが、2621ETFと「TLT」は同じ米国債20年超に投資するので、全く同じではないのですが似た値動きをしています。
2621ETFの2022年の価格変動
2621ETFは2022年の1年間に34.83%の下落をしていました。
かなり大きな下落です。
TLTの2022年の価格変動
米国ETFのTLTは2022年の1年間に31%の下落をしていました。
こちらも大きな下落でしたが、2621ETFよりは下落率が低かったです。
2022年、2621ETFはTLTを3.83%下回った
どちらのETFも2022年は大きな下落でしたが、2621ETFはTLTを3.83%下回りました。
似た値動きにはなるのですが、市場が開いている時間も違いますし、全く同じ値動きにはなりませんでした。
2621ETFと米国TLTの差はヘッジコスト?
日本円から米国ドルに両替なども必要ですし、手数料が多くなるのか、2621ETFはTLTのリターンを下回るようです。
自分で米国ETFを売買すると、別途手数料を支払うことになるのですけど。
また、2621ETFは為替ヘッジを行うので、ヘッジコストがかかる分「TLT」よりも安値になるのかもしれません。
為替ヘッジを行う
2621ETFは名称にもありますが、為替ヘッジがあります。
為替ヘッジ有は円高・円安の影響を受けにくい
2621ETFの投資対象は米国債なので、米国ドルです。
為替が円高や円安になると、米国ドルの価格が変わります。
でも為替ヘッジを行うと、円高や円安といった為替の影響を小さくすることができます。
2621ETFは為替ヘッジを行うので、円高や円安などの影響をあまり受けません。
為替ヘッジにはコストがかかる
為替ヘッジを行うには、ヘッジコストという費用がかかります。
日本円と米国ドルの金利の差がヘッジコストになります。
日本が低金利、米国が高金利の場合、ヘッジコストが高くなります。
ヘッジコストが高い場合は、ETFの分配金よりもヘッジコストのほうが大きくなって、損失になる場合があります。
信託報酬は年0.154%
2621ETFの信託報酬は年0.154%です。
信託報酬はETFの運用をしている会社などが受け取る報酬で、言い換えると手数料みたいなものです。
信託報酬は分配金から引かれます。
米国債の利息収益が分配金になるのですが、信託報酬のぶん分配金がほんの少し減る感じになります。
米国社債ETFよりは信託報酬が低い
証券コード | 銘柄名 | 信託報酬 |
2621 | iシェアーズ 米国債20年超 | 0.154% |
1482 | iシェアーズ・コア 米国債7-10年 | 0.154% |
1496 | iシェアーズ 米ドル建てIG社債 | 0.308% |
1497 | iシェアーズ 米ドル建てHY社債 | 0.638% |
2554 | NEXT FUNDS 米国IG社債 | 0.297% |
2621ETFの信託報酬は、他のiシェアーズ米国債ETFと同等です。
米ドル建て社債ETFと比べると、かなり低めの信託報酬です。
先進国債券インデックスファンドと比べても低コスト
ファンド名称 | 信託報酬 |
iシェアーズ 米国債20年超 ETF | 0.154% |
eMAXIS Slim先進国債券インデックス | 0.154% |
<購入・換金手数料なし> ニッセイ外国債券インデックスファンド | 0.154% |
Smart-i 先進国債券インデックス(H有) | 0.187% |
Smart-i 先進国債券インデックス(H無) | 0.187% |
たわらノーロード先進国債券 | 0.187% |
iFree外国債券インデックス | 0.198% |
少し分野が違いますが、投資信託の先進国債券インデックスファンドの信託報酬とも比較してみました。
2621ETFは低コストファンドの代表格とも言えるeMAXIS Slimと同等の信託報酬率です。
売買単位は1口
2621ETFの売買単位は1口です。
株だと100株単位だったり、ETFでも10口、100口のものもあったりで、1回の注文で要求される金額が高額になりがちです。
でも2621ETFは1口でも注文できるので、少額でも投資することができます。
S株とか端株とかのサービスを利用しなくても、1口で売買できます。
決算日は年4回
大抵のETFは決算を行って、そのときに分配金の金額が決まります。
2621ETFの決算日は年4回で、1月、4月、7月、10月の各11日です。
分配金を受け取るには決算日の2営業日前までに保有しておく
ETFの分配金を受け取るには、決算日(権利確定日)にETFの受益者になっている必要があります。
ETFの受益者になるのは、ETFを購入してから2営業日後になります。
決算日(権利確定日)にETFを購入しても分配金は受け取れないので、注意しましょう。
分配金の入金は決算日の翌月中旬頃
分配金の入金は決算日の翌月中旬頃です。
2月、5月、8月、11月に入金します。
分配金はいくら?
米国債の利息で得た収益を分配金としてETF保有者に配ります。
米国長期債なので、そこそこ高い分配金を期待したいところですね。
2621ETFの分配金実績
決算日 | 1口あたり分配金額 |
2023年04月 | 9円 |
2023年01月 | 5円 |
2022年10月 | 13円 |
2022年07月 | 5円 |
2022年04月 | 23円 |
2022年01月 | 11円 |
2021年10月 | 12円 |
2021年07月 | 11円 |
2021年04月 | 9円 |
2021年01月 | 7円 |
ブラックロック・ジャパン株式会社のWebサイトから引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/316089/
米国債の金利は常に一定というわけではないので、月によって分配金額は変動します。
価格変動時には分配金額も不安定に
また、米国債の価格が大きく変動するときにはETFの発行口数も大きく変わるので、分配金額が増えたり減ったりするようです。
急落の2022年4月は解約ラッシュで1口の分配金が増額
米国で利上げが始まると、米国債の価格が急落して、2621ETFも大きく下落しました。
その際に、ETFの売却・解約が多くなって、ETFの総口数が減ります。
2月、3月と分配金が貯まった後に解約ラッシュで総口数が減ると、1口あたりの分配金額が大きくなります。
その結果、2022年4月の分配金は高額になったのだと思われます。
米国債上昇時には発行口数が増えて、1口分配金が減る
反対に2022年7月、2023年1月はインフレ率低下期待などもあって、米国債の利回りが低下、債券価格は上昇していました。
ETFの値上がり時にはETFを買う人が増えるので、発行口数が多く増えやすいです。
4月に口数が減ってETFが受け取る金利が減っているところに、急激な口数増加が起こると…1口あたりの分配金は少なくなります。
2023年1月もETFの価格が下落した後、上昇に転じたタイミングで、発行口数が大幅に増加しているので分配金額が少なくなっているのだと思います。
2022年7月→2023年1月の間に、発行口数は3倍程度に増えています。
2621ETFの年間の分配金合計
年 | 1月 | 4月 | 7月 | 10月 | 年間合計額 |
2023年 | 5円 | 9円 | – | – | – |
2022年 | 11円 | 23円 | 5円 | 13円 | 52円 |
2021年 | 7円 | 9円 | 11円 | 12円 | 39円 |
ブラックロック・ジャパン株式会社のWebサイトから引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/316089/
2021年は米国が低金利だったこともあり、分配金も少なかったです。
2022年に米国が利上げをした影響か、分配金額は前年よりも増加しました。
年毎の分配金利回り
年 | 10月11日の終値 | 年間合計額 | 利回り |
2022年 | 1,453円 | 52円 | 3.58% |
2021年 | 2,161円 | 39円 | 1.80% |
分配金額はブラックロック・ジャパン株式会社のWebサイトから引用
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/316089/
2621ETFは運用期間があまり長くないので2年分しかありませんが、上は各年の10月11日の終値と年間の分配金合計、分配金利回りの表になります。
米国が低金利だった2021年、分配金利回りは1.80%でした。
金利が上昇した2022年、分配金利回りは3.58%に上昇しました。
1年で利回りが倍近くに上昇しています。
ただ、見ての通りでETFの価格は大きく下がっています。
差額は700円以上なので、分配金10年分でも足りないですね。
米国の金利変動でETFの価格も変動する
国債は満期まで保有していれば額面金額が帰ってくるので、損失になることは滅多にありません。
でもETFの価格は時価総額で変わります。
2621ETFは米国債に投資しますが、時価の変動で損失になることがあります。
利益になることもありますけど。
債券にも時価がある
債券にも市場があって、売買が行われています。
条件の良い(金利が高い)債券があれば、条件の悪い(金利の低い)債券の価格は下がってしまいます。
債券以外でも、株価が高騰していて債券を持っているよりも儲かる、とかになったら、債券を売って株を買う人が多くなります。
そうなると債券は安くなります。
金利が上昇すると既発債券の時価は下がる
基本的に、債券の額面金利は発行する時に決まって、その後に変動はしません。
(変動金利型の債券もあります)
でも経済ニュースとかを見ていると、「国債の金利が上がった・下がった」というのを目にすることがあると思います。
金利が上がって、新しい条件の良い債券が出てくると、古い条件の悪い債券の価格は下がります。
逆に金利が下がった場合は、古い債券のほうが条件が良くなるので、価格が上がります。
長期債券は価格の変動幅が大きい
満期5年の債券の金利が1%変わったら、合計で5%変わります。
満期20年の債券の金利が1%変わったら、合計は20%になります。
期間が長い債券は、金利変動の影響が大きくなりやすいです。
満期5年の債券が金利上昇した場合
満期5年の債券の額面金利が1%上がると、利息は合計で5%増えます。
満期20年の債券が金利上昇した場合
満期20年の債券の額面金利が1%上がると、利息は合計で20%増えます。
2621ETFは20年超の超長期債券を投資対象にしているので、金利変動によるETF価格の変動幅も大きくなりやすいです。
2022年、米国の利上げで米国債ETFは下落した
2022年に米国では利上げが行われて、金利が上昇しました。
その結果、2621ETFの価格は大きく下がりました。
2621ETFは1年で35%値下がり
2022年始、1月4日の2621ETFの終値は2,271円でした。
それが米国で利上げ・金利が上昇しはじめるとETFの価格は下がっていき、年末の12月30日の終値は1,480円になりました。
1年で 2271円 → 1480円
35%近い値下がりになりました。
1482-米国債7-10年ETFは1年で18%値下がり
1482-米国債7-10年ETF(ヘッジ有)も大きく下がっているのですが、年始の終値が2,321円で、年末の終値は1,901円でした。
1年で 2321円 → 1,901円
18%の値下がりです。
超長期国債ETFは倍近い値下がり率に
上の方にも「期間が長いほどリスクが高い」と書きました。
米国債のETFでも、7-10年のETFと20年超のETFでは1年の価格変動で倍近くの差があった、という結果からリスクの高さがわかっていただけるのではないでしょうか。
利上げで下落、なら利下げで…?
上のチャートでも下がり続けるだけでなく、たまに上昇している時期もあることがわかるかと思います。
2022年に米国の政策金利は上昇が続きましたが、米国債の金利は上がるだけでなく、たまには下がることもありました。
そして、ETFの価格が上昇しているときは、米国債の金利が下がった時です。
景気後退期には政策金利は下がりやすい
過去の事例として、景気後退期や経済危機になると、中央銀行は政策金利を下げて緩和政策をとることが多いです。
2022年は金利上昇で2621ETFは下落しました。
でも金利が下がる場面もあり、そのときにETFの価格は上昇していました。
今後、米国がどんな経済政策をとるかはわかりませんが、高金利がいつまでも続くとは限りません。
2621ETFの価格が今後どうなるかは、その時が来ないとわからないのですが…。
経済危機にはTLTが急騰することもあった
上の画像は米国ETFのTLT、iシェアーズ米国債20年超ETFの長期間の株価チャートです。
2008年のリーマンショックや、2020年の新型コロナ暴落などの経済危機の際に、TLTは急騰しています。
株価が暴落するような事態でも、米国債ETFに分散投資していたら総資産へのダメージは小さくなることもあるかもしれません。
でも急騰もありますけど急落している場面も多く見られるので、米国金利の変動には注意を払う必要がありそうです。
まとめ
2621-iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)について、僕なりの解説でした。
債券のETFというと、分配金の収益が主な目的という印象があると思います。
でも2621ETFは2022年の価格変動を見ると、分配金目当てで長期保有するには向かないのではないか、と思えます。
2022年の政策金利の上昇の仕方は過去に例がないほどの異常事態ではあるのですが、実際に起こった出来事ですし、前例ができたわけですから今後もまたやるかもしれないのです。
ちょっと怖いですね。
少額投資だからこそ手数料を低く抑えよう
2621ETFは2000円前後の少額から投資することができます。
しかし、ETFを売買するには証券会社を通す必要があります。
そして、証券会社によっては1回の注文で数百円~千円以上の手数料が取られます。
ETFの分配金が10円~20円なのに売買する度に数百円の手数料を払っていては、利益を得るどころか損になってしまいます。
投資で利益を得るには、いかに手数料を低く抑えるかが重要になります。
ですが、証券会社のなかには特定のETFの売買手数料は無料のところもあるので、全ての証券会社は把握していませんが一部を紹介したいと思います。
楽天証券は東証上場の「iシェアーズETF」の売買手数料が0円
楽天証券は東京証券取引所に上場しているすべての「iシェアーズETF」が売買手数料0円です。
2621ETFもiシェアーズETFなので、売買手数料は無料です。
楽天証券のiシェアーズETF特集ページ→https://www.rakuten-sec.co.jp/web/domestic/special/0-etf.html
SBI証券では2621ETFは現物取引手数料0円銘柄の対象
SBI証券では2621ETFは現物取引手数料0円銘柄の対象に入っています。
SBI証券の取引手数料無料対象ETF銘柄リスト→https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/dstock/pop_home_info191206_01.html
また、SBI証券は国内株式アクティブプランを選択すると、1日100万円の現物取引が手数料無料です。
GMOクリック証券なら1日定額プランで約定代金100万円まで手数料0円
GMOクリック証券には取引手数料無料のETFは設定されていないようです。
ですが、1日定額プランを利用すると、1日の約定代金100万円まで手数料0円です。
松井証券なら1日の約定代金合計50万円まで手数料0円
松井証券には取引手数料無料のETFは設定されていないようです。
松井証券なら1日の約定代金合計50万円まで手数料0円です。
松井証券の手数料解説ページ→https://www.matsui.co.jp/stock/etf-reit/etf/fee/
auカブコム証券では2621ETFはフリーETFの対象ではない
auカブコム証券には手数料無料のフリーETFが設定されています。
しかし、2621ETFはauカブコム証券のフリーETFの対象外です。
auカブコム証券のフリーETF解説ページ→https://kabu.com/item/free_etf/default.html
auカブコム証券でも「1日定額手数料コース」を選択すれば1日の約定代金100万円まで手数料0円なので、少額投資なら手数料無料になりそうです。
最後に
一般的には債券は株式よりも値動きが小さい、と言われています。
しかし2621ETFは2022年の1年間で35%くらい下落しました。
株安で大きく下落したNASDAQ100と大差が無かったのです。
でも騰がる時は勢いよく騰がることもあるので、安く買って高く売る、スイングトレード向けのETFでしょうかね。
僕のETFや株の運用状況は、こちらの株式ETF運用状況ページでご覧いただけますので、投資した結果どうなっているか気になる方は、そちらもよろしくどうぞ。
他のETF等の解説ページはこちら→ETF等の解説ページ一覧
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