今回は「2566 上場インデックスファンド日経ESGリート」というETFについて解説いたしましょう。
環境や社会への貢献など、SDGsなどと並んで、注目を集めるESGという言葉。
そんなESGという観点に注視したREIT ETFが、2566 日経ESGリートです。
僕はこの日経ESGリートETFを、投資対象としてアリと判断していました。
理由はいくつかありますが、
- 東証REIT指数に連動するETFと比較すると、信託報酬が少し低め だった
- 新しいETFの為か、貸株金利が他のREIT ETFと比較すると、少し高め だった
- 投資の目に見える収益として、REITの分配金が欲しい
といったところになるでしょうか。
しかし、同じ日に決算を行う東証REIT指数ETFと比較すると、分配金額が妙に少ない月が見られるようです。
このページでは、
- 日経ESGリートETFとは、どんなETFなのか?
- 分配金はどれくらい?
- なぜ東証REIT指数ETFと比較すると、分配金額が妙に少ない月が出てくるのか?
- REITの投資信託とETFでは、どちらが良いのか?
などについて、解説したいと思います。
※あくまでも、やすふじ個人の感想です。「こういう考え方もあるんだな」程度に留めて、目論見書や運用実績などをよく読んで投資判断をしましょう。
目論見書は日興アセットマネジメント社のウェブサイトで観覧できます。
日興アセットマネジメント社のウェブサイトはこちら(新しいタブで開きます)→https://www.nikkoam.com/products/etf/lineup/esgreit
どんなETFなのか?
「上場ESGリート」という愛称がついています。
リートETFとはどういうものか? という点は他のリートETFのページにまとめてありますので、そちらもご覧ください。
「日経ESG-REIT指数」に連動するETF
日経ESG-REIT指数に連動するETFです。
日興アセットマネジメント社が運用しています。
東証REIT指数に連動するETFは多くありますが、この2566 ETFはレアな指数に連動しています。
ESGって大事ですよね、たぶん。
「日経ESG-REIT指数」とは?
東証REIT指数の銘柄を、環境への配慮とかのESG評価によって投資割合を変動させたもののようで、東証REIT指数の亜種程度に僕は認識しています。
ESG評価の高い銘柄の比率を上げて、評価の低い銘柄は比率を下げる、といった感じです。
日本経済新聞社が算出しています。
2021年4月26日から、リアルタイムで算出し、公表しているそうです。
ESG評価の高いものだけを集めたのであれば、評価も変わってくるのでしょうけれど。
東証REIT指数は東証に上場している全銘柄を対象としていますが、日経ESG-REIT指数は流動性の低い銘柄は除外されています。
取引所での出来高が少なく、約定し難い。
このETFは出来高が少ないです。
東証REIT指数に連動するETFは活発に取引されており、指数の変動に合わせてETFの価格も変動するのですが、この2566 ETFは置いて行かれ気味です。
指数が違うとはいえ、構成銘柄はさほど変わらないと思うんですけどね。
そのため、東証REIT指数系のETFが価格上昇している時でも、このETFは安値で放置されていることがあります。もっとも、売る人も少ないので約定しないかもしれませんが。
東証REIT指数よりも、1口単価が低い
2021年8月の時点では1口あたり1200円程度、10口単位での売買になるので、最低投資額は1万2千円くらいになります。
個別のREIT(ETFじゃないやつ)は1口単価が数万円から数十万円と高いものが多いので、僕は少額で分散できるETFを選びました。
東証REIT指数のETFは1口単価が倍まではいきませんが2000円くらいになるので、「上場ESGリート」のほうが少額で投資できるのではないかと思います。
信託報酬は東証REIT指数ETFより少し低めの「年0.165%」
東証REIT指数に連動するETFと比較すると、信託報酬が少し低めの「年0.15%(税抜)」に設定されています。税込みだと「年0.165%」になりますね。
ただし、構成銘柄の比率等が違うので、信託報酬が低いから分配金利回りが高くなる、とは限らないのですが。
コード | 銘柄名称 | 信託報酬(年率) |
1343 | NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 | 0.1705% |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | 0.165% |
1488 | ダイワ上場投信-東証REIT指数 | 0.1705% |
1597 | MAXIS Jリート上場投信 | 0.1595% |
2555 | 東証REIT ETF | 0.2695% |
2556 | One ETF 東証REIT指数 | 0.1705% |
2566 | 上場インデックスファンド日経ESGリート | 0.165% |
以前は東証REIT指数ETFの信託報酬は最低が年0.1705%だったのですが、年0.1595%に引き下げたETFもあり、信託報酬での日経ESGリートETFの優位さはなくなりました。
貸株金利が少し高かった
他の証券会社のことはわからないのですけれど、楽天証券では貸株金利が0.3%と、少し高かったです。すぐに下がってしまうかもしれませんが、貰えるものは少しでも多いほうが良いですね。
2021/1/24に確認した時点では、SBI証券でも貸株金利は0.3%でした。
2021/8/9から、貸株金利が0.1%に下がり、他のETFと同じ水準になりました。
日経ESGリートETFの分配金は?
分配金は年4回のようです。
1月、4月、7月、10月に決算を行い、翌月に支払い
1月、4月、7月、10月の各8日に決算を行い、決算の約40日後に分配金が振り込まれます。
まだ新しいETFで、分配金の実績は初回の2020年10月は、1口あたり2円でした。
2回目の2021年1月は1口あたり7.5円に増えています。
年間利回りは3%程度になりそうですが、リートの分配金は月によって違うので、1年以上見てみないとわからないですね。
このETFに限ったことではないですが、ホテル系が含まれるREITインデックスは、とうぶん厳しくなりそうです。
同じ月に決算の2555 ETFと比べると…
同じ月に決算を行った「2555 東証REIT ETF」の2021年1月分配金は、10口あたり188円でした。
2021年1月の分配金では「東証REIT ETF」のほうが利回りが高かったということになりますが、まだ上場して間もないので、しばらく様子を見てみましょう。
決算月 | 2566-日経ESGリート分配金 | 2555-東証REIT ETF分配金 |
2023年4月 | 1口あたり 11.2円 | 1口あたり 16円 |
2023年1月 | 1口あたり 7.5円 | 1口あたり 15円 |
2022年10月 | 1口あたり 10.6円 | 1口あたり 16.2円 |
2022年7月 | 1口あたり 7.1円 | 1口あたり 14.8円 |
2022年4月 | 1口あたり 11.9円 | 1口あたり 16円 |
2022年1月 | 1口あたり 6.9円 | 1口あたり 11.8円 |
2021年10月 | 1口あたり 9.6円 | 1口あたり 15.1円 |
2021年7月 | 1口あたり 6.5円 | 1口あたり 12.5円 |
2021年4月 | 1口あたり 10円 | 1口あたり 16円 |
2021年1月 | 1口あたり 7.5円 | 1口あたり 18.8円 |
2020年10月 | 1口あたり 2円 | 1口あたり 16.4円 |
https://www.nikkoam.com/products/etf/lineup/esgreit
https://www.simplexasset.com/etf/etf2555.html
2021.7.9の終値では2566 ETFは「1217円」で、2555 ETFは「2214円」でした。
2021年7月までの年間利回りは、2566ETFは2.1%、2555ETFは3%になりますね。
1口あたりの単価では約1.8倍になるのですが、分配金は2倍以上の差がある月もあり、信託報酬が高くても「2555 東証REIT ETF」のほうが分配金利回りでは高くなりそうです。
2021年4月は1.6倍なので、「2566-日経ESGリート」のほうが比率的には高い分配金になることもあるのですが。
なぜ分配金が急に減ったのか?
1月、4月と分配金は順調に増えていて、7月に至るまで基準価額も増額していました。
しかし、上の表にあるように、7月の分配金は前回4月から35%の大幅な減額になってしまいました。
2555ETFは22%の減額で、そこまで下がっていないのに。
なんで?
気になったので調べてみました。
決算直前の口数増加で、1口あたりの分配金が減った
https://www.nikkoam.com/ 日興アセットマネジメント株式会社発行のマンスリーレポートから引用
上場ESGリートのマンスリーレポートを調べてみました。レポートは日興アセットマネジメント社のウェブサイトで確認できます。
ファンドの純資産総額を見ると、決算前の6月後半に急激に資産が増えています。
これは、大口の出資があり、発行済み口数が大幅に増えたということです。
ETFの分配金は、決算~決算の間に受け取ったREITの分配金利益を、決算時の発行済み口数で等分して分配します。
4月~5月の利益も、決算の直前に増えた口数で等分するのです。
つまり、決算直前になってひょっこり現れた奴に、利益を持っていかれた、ということだと思います。
1~4月には大きな口数の増加が無かったから、分配金も高くなっていたのでしょう。
2021年10月の分配金でも、9月にファンド資産の大幅な増加が見られました。
分配金も少なめになっているようです。
総資産が増えるまでは、分配金が安定しないかも
この2566-日経ESGリートは2020年9月7日に上場したばかりで、発行済み口数が少なく、総資産も少ないです。
なので、今後も大口の取引があると、同じように分配金額がぶれることが起こり得ます。
1343-東証REIT指数ETFのように純資産総額が4000億円を超えていると数十億円の取引があってもさほど影響がないのですが、100億円程度の規模に数十億円が入ってくると10%以上の変化になるので、影響が大きいです。
これが安定してきてくれれば、信託報酬の低さが活きてくるかもしれません。
投資信託じゃなくてETFを選ぶのは何故?
僕の目標が「不労所得で生活したい」なので、不労所得を増やすためですね。
分配金の出る投資信託は微妙
投資信託でも分配金の出るものがありますが、わざわざ高い信託報酬を払うこともないでしょう。質の高いアクティブファンドであれば高い信託報酬を払う価値もあるかもしれませんが、Jリートは株式とは違って、特定の銘柄が飛びぬけて値上がりするようなものではないと思います。
手抜き工事の発覚などで特定の銘柄が暴落することはあり得ますが、それによる下落を和らげるための分散投資であり、インデックス投資です。
コロナ禍で一部の業種が収益を上げられない状況では、そこを避けて投資できるアクティブファンドのほうが、インデックスファンドよりも高い利益を得られるのでしょうけれど。
分配金を出さないインデックスファンドは?
東証REIT指数に連動して、分配金を出さずに再投資するインデックスファンドも多数あります。
ファンド名称 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 国内リートインデックス | 0.187% |
Smart-i Jリートインデックス | 0.187% |
NZAM・ベータ 日本REIT | 0.264% |
ニッセイ Jリートインデックスファンド | 0.275% |
たわらノーロード国内リート | 0.275% |
米国株式のファンドなどと比べると信託報酬が割高に感じられるかもしれませんが、ETFよりちょっと高い程度です。
分配金は税金で約20%を徴収されます。
リートの分配金を3%とすると、0.6%程度を引かれずに再投資できるのは大きな利点になると思います。
でもリートの投資信託はつみたてNISAでは購入できないようで、特定口座で保有すれば最終的には利益から税金が引かれてしまいます。一般NISAなら保有できるのですけど、株式ほどには値上がり益が期待できないリートにNISA口座は勿体ないかな、と思います。
日経ESGリート指数に連動する投資信託は、僕が探した範囲では見つかりませんでした。
分配金で不労所得を
まぁぶっちゃけてしまえば、株式投資の損益をブログで公開するにあたって、REIT ETFの分配金収益があったほうが見栄えが良い、ということなのですが。
株式の配当金は年1~2回なので、年4回の分配金がでるREIT ETFを保有していれば、分配金による利益の回数が多くなりますから。
分配金再投資で複利の効果を、と言いますが、ファンドの財源にあるうちは、ずっと信託報酬を引かれるんですよ。
コロナ暴落でリートの投資信託が大きく下がって、その後なかなか上がってこなかったのを体験したら、次も買おうとはなかなか思えないですよね。
基準価額が大きく下がると、再投資した分配金も減ってしまいます。
なので、分配金による利益を目に見える形で確保しておきたい、というのがREIT ETFを選ぶ理由になります。
他のリートETFの解説ページもあるので、そちらもご覧いただければと思います。
まとめ
<2566>上場インデックスファンド日経ESGリートETFについて、僕なりに解説してみました。
- 「日経ESG-REIT指数」は「東証REIT指数」と多少は組み入れ比率が違うけど、同じJ-REIT銘柄を対象にしているので大差はなさそう。
- 2566-日経ESGリートETFは東証REIT指数ETFよりも信託報酬は低いけど、2022年4月時点では分配金利回りが低い。
2566-日経ESGリートETF 信託報酬:0.165%、分配金利回り:3.14%
1343-東証REIT指数ETF 信託報酬:0.170%、分配金利回り:3.28% - 決算前に口数の大幅な上昇が度々あり、分配金額が安定しない。
株式だと、増資して発行済み株式数が増えて1株あたりの配当金額が減ったら、大抵は株価が下がります。
これはETFなので、口数が増えても1口あたりの分配金額が減るのはその決算期間内だけで、一時的なものなのですが、何度もやられてはたまりません。
価格変動が同じなら、利回りが高いほうが良いです。
僕はこのETFからは撤退しました。
個別のリート銘柄のほうが、単価は高くても利回りの高いものがありますからね。
分配金が安定して、利回りが高くなったらまた検討します。
やすふじのETFの運用状況は、こちらの株式ETF運用実績のページでご覧いただけますので、参考になることがあるかもしれません。
※あくまでも、やすふじ個人の感想です。個別の銘柄等について、投資を推奨するものではありません。
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